4号特例をぶっ壊せ!! vol.2

「建築基準法」は“最低基準”DSC_0209_00132
新耐震基準に改正されたのが1981年(昭和56年)のため、「我が家は平成に建てたから新耐震基準、だったら大丈夫だな」とホッと胸をなでおろしている方も少なくないはずだ。
しかし、それは大間違いで、この基準をクリアしていればどんな大地震にも安全とお墨付きを与えているものではない。

今回の熊本地震のように短期間に震度7の地震が繰り返し起こるといった想定外のこともある上に、そもそも“震度7”という地震力さえ基準外なのは『4号特例をぶっ壊せ!! vol.1』でも触れた。
繰り返すが、現行の建築基準法にギリギリ適合していることは、最低条件であって、決して“最適条件ではない”ことを理解してほしい。
地震地域係数
「えっ、地震って、地域を選んで発生するの?」
この耐震基準の計算の中に「地震地域係数Z」がある。これは「地震が最も発生しやすい地域」に 1.0 という指数を与え、以下、それに比べて「相対的に地震が発生しにくいと思われる地域」を 0.9・0.8、0.7 と、その指数に応じて「設計地震力を低減してもよい(昭55建設省告示1793号*1)」、としたものだ。2016年(平成28年)4月14日21時26分(日本標準時)以降に熊本県と大分県で相次いで発生しているいわゆる「熊本地震」の地域係数は0.9だ。また、2004年(平成16年)10月23日に発生した「新潟県中越地震(最大震度7)」と2007年(平成19年)7確率考察月16日に発生した「新潟県中越地方沖地震(最大震度6強)」は、わずか3年余りの間に起きた大地震であるが、この新潟県の地域係数も0.9である。
そもそも、発生確率で耐震性の品質を落としていいなんて、考えられます?
ゴールド免許の人の車はブレーキの効きが1割落として良いなんてありえません。
全国地震予測2016*1昭55建設省告示1793号(その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度及び地震活動の状況その他 地震の性状に応じて1.0から0.7までの範囲において国土交通大臣が定める数値)

今後30年以内に0.1%

地震調査研究推進本部地震調査委員会は、平成28年6月10日「全国地震動予測地図2016年版」として公表した。
「今後30年以内に数%」という確率が、実感が湧かない。
2010年版の解説によると、東京駅周辺では、今後30年以内に「震度5弱以上となる確率は99.8%」、「震度5強以上となる確率は80.2%」、「震度6弱以上となる確率は19.2%」、「震度6強以上となる確率は0.8%」となっている。
また、30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が0.1%、3%、6%、26%であることは、それぞれごく大まかには、約30,000年、約1,000年、約500年、約100年に1回程度、震度6弱以上の揺れに見舞われることを示している。
地球に約19億年前に超大陸「ヌーア」が誕生し、その後分裂していき、今日の大陸形状になっているという地球規模の時間で考えると、どの確率でもいつ起きても不思議がないことは容易に想像がつく。

「自分の身を守るのは自分、家族の身を守るのもアナタ」
私たちは、制限速度で運転していても事故に遭うことがあるのは知っている。賞味期限の内の食品でも、自分で安全性を確認してから口にする。
それなのに、何故住宅の安全性についてだけ無関心なのだろうか?
それとも“お人好し”を演じているのだろうか?
私たちは「自分の地域だけには巨大地震が起こらないでくれ=」と、神頼みをしている訳にはいかない。
国が基準や法律を変えてくれるのを待っている訳にはいかない。
自分自身が“安全性の根拠”を求めなければ、自分の命も、家族の命も守れないことを知るべきだ。

私たちは、4号建築物であっても安全性の検討をすることはもちろんのこと、その計算方法も、どの地域でも「地震地域係数Z」は1.0以上で検討すべきであると考えています。

2016年07月03日 | Posted in 私感・直感