断面の性質 vol.1  [断面一次モーメント]

【断面1次モーメント】
微小面積(dA)を物体の重さ、つまり「力」と考え、この面積と軸からの距離(Sxの場合はx軸からの距離y)をかけたものがモーメントです。これを物体面積全体で足し合わせた(積分した)ものを断面一次モーメントとよびます。???
文字で書くとこのようになりますが、残念ながら断面一次モーメントは、そのものではあまり意味がありません。「断面の性質」では断面の図心(重心)を求めるのに使用されます。
幸い?建築の世界では整った形に分解できる断面形状の材料がほとんどです。ですので、それぞれの断面積を出し、それにそれぞれの図心距離を掛けて、断面1次モーメントが0になる場所を探せば、そのポイントが断面の図心・重心になるということです。
[断面1次モーメントが0になる場所を探す]

図1の断面で軸の一点鎖線で考えてみます。軸の一点鎖線を境に上下の面積を考えた時に、どちらかが大きと軸の一点鎖線を軸に回転してしまいます。上下の面積が釣り合う軸位置が「断面1次モーメントが0になる場所」となります。同様に軸も「断面1次モーメントが0になる場所」を探し、軸、軸の交点が図心ということになります。

実際にやってみましょう。図2のような断面形状の鉄骨があります。この図心を計算してみましょう。


このようにして、図心 (3.5a,1.9b)が求めることができました。一般的な断面形状の部材は図心を求める公式がありますが、この断面一次モーメントが理解できていれば、図心を求めることができます。
図心は、部材の強度や剛性について検討する上で欠かせない考え方の「断面二次モーメント」などで利用されます。

2018年07月28日 | Posted in 構造 初歩の初歩