『木造』 って素晴らしい!!   ser.1 “コストを考える”

図2
2025年には新築住宅着工棟数が62万戸になるとの分析(野村総合研究所)がある中、業界は“非住宅木造建築物”があたかも唯一の救世主であるかのように賑やかだ。
確かに、平成22(2010)年5月26日に公布された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(「低層の公共建築物は可能な限り木造で造る」という法律)は業界にとって画期的な法律と言える。これまでの、耐震性や防火性の観点からどちらかといえば、公共建築物は木造では造らない方針だったものが、一転、真逆の「木造化の促進」ときたものだから、驚きと共に、大きな期待を抱いたのは致し方ないと言える。
しかし、平成24年度において、国が整備した公共建築物の木造化達成率は棟数でたったの9%、延べ面積で3%というのが現実で、期待外れの感が否めないし、民間でも木造ありきで大型の介護施設を建設したところ、「鉄骨造での積算の方が安かった」なんて笑えない話もある。
そこで、『木造』の今を多方向から見つめなおし、他工法との共生を模索するシリーズをスタートしたい。

<ser.1 “コストを考える”>
図4
a. 工期短縮によるメリット
木造は工期が短くなることで、現場管理費や仮設費用の削減にもつながる。建て替え需要の場合など、工期が短い分、施主の家賃負担が減り、店舗の場合などは早く営業がスタートでき、回収が早まるメリットがある。
b.   軽さにおけるメリット
木材は軽いという大きな特徴があり、(RCの1/8、鉄骨の1/4)。
よって、地盤に対しての負担が軽くなり基礎工事へのコストにも大きく反映する。また、同様に輸送コストの優位性もつながる。
c.  躯体費用事態のコストメリット
木材はRCや鉄骨造と比較しても構造躯体そのものの金額が安いので、一般的に純粋な建築費用の躯体部分のコストダウンにつながる。
d.  減価償却期間で節税効果を発揮する
事業用では、経営的に減価償却をどう経費で落としていくのかは節税対策にも大きなテーマとなるが、一般的にRC造であれば償却期間は39年ですが、木造の場合は22年。つまり、同じ評価額であれば17年早く償却ができることになり、税務上とても有利になる。

コスト面で良い事尽くめの『木造』だが、ある一定規模を超えると、S造などとそんなにコスト面で変わりなくなるケースがある。
やはり、バランスが大事と言う事ではないか。

2015年09月09日 | Posted in 木造・木質建築